オオマシコ
写真の個体は若いオスか。赤みがだいぶ出ており、おでこが白くなっている。草の実(花?)などを食べている。
エサは穀物類。隣で撮影していたおじさんと「なかなかいいところに降りてくれませんねぇ」なんて話をしていると、「秘密兵器があるんだよね」といってジャンパーのポケットからなにやら取り出した。そしておじさんは、すばやく開けた草むらにそれを撒いた。「なんですか?」と聞くと粟(あわ)やヒエだという。
成熟したオスの赤は、見事としか言いようがない。赤い体に、おでことあごの白がこの鳥の特徴であり、ベニマシコなどの近似種との見分けるポイントとなる。
なかなか会うことができない鳥なので、観察地が知られるとあっという間に人が集まる。最盛期は過ぎていたが、それでもざっと20人〜30人の人たちがオオマシコを見るために集まっていた。僕もその中の一人だ。
鳥との付き合い方もいろいろあるもんだ。自分ではまるでやる気がなくても、餌付けに便乗している僕みたいな人もいるだろう。ともかく、珍鳥に人がたくさん集まる観察地では、どうしても鳥に集中できなくなる。そんな時は「鳥をとりまく人びと」を観察してみるのも面白い。
今年もオオマシコはかの地にやってくるのだろうか?
もしオオマシコが今年やってきても、昨年のようにたくさんの人が集まらなければ、たぶんひもじい思いをするに違いない。それもなんだか気の毒である。
冬鳥のシーズンを迎え、そんなことをあれこれ思いながら、この記事をアップする。
小川で、水浴びをするオオマシコ。真冬の川で・・おおさむ・・
しかし、なんともかわいい姿で、楽しませてくれる。鳥のことを知らない通りすがりのおばさんたちも、赤い鳥の姿を見つけると大騒ぎ。「かわいい鳥がいるわよーほれほれ、あそこ!!」同行のおじさんが、「あればオオルリっていうんだ、たしか。」と、知ったかぶりをしているのがほほえましい。
スズメ目アトリ科 大きさ 14〜17cm 冬鳥 分布 日本には冬鳥として全国に飛来 |
オスの成鳥は、きれいな赤い体色で、前頭やくびなどが銀白色に輝いて見える。メスはほのかに赤みがかった褐色。群れで生活し、同じ場所に飛来することが多い。冬鳥として飛来するが、数は少ない。北海道では繁殖している。 平地、林、山地などで、樹木や植物の種子を採食する。 |
ウォッチングのコツ・・・毎年やってくるポイントがあるので、ネットなどで調べてから出かけるのが確実。今回紹介する場所は、いつもはやってこないところだったので、いろんな鳥屋さんのブログなどで取り上げられた。珍しい鳥はあっという間にネット上に情報が流れる。鳥はそういう方法で情報を入手することがけっこう多い。 |
群れで行動しており、さっと数えただけでも20羽はいただろうか。日中は何ヶ所かの餌場を回っているようで、そこで待ってさえいれば確実にやってくる。
すぐ目の前までやってくるのにはわけがある。写真撮影のため、カメラマンたちがたくさんのエサをあげていた。餌付け(えづけ)である。
当初は「すぐにいなくなる」と言われていたようだが、人々の予想に反し、オオマシコたちは一冬をこの地で過ごした。エサがたくさんあったからだと思う。
平成18年から平成19年にかけての冬は、ふだんはなかなか見られない冬鳥たちが、平地にたくさんやってきて話題となった。つくばのオオマシコもそんな例で、渡来地に集まった鳥屋さんたちは、こんな近くで見られるなんて、と一様に驚いていた。
ほんとはこういう情報をタイムリーに流せれば良いのかもしれないが、あえてシーズンが終了してからアップすることにした。
撮影: 平成19年1月〜2月 茨城県つくば市
(公開:平成19年11月19日)