ぶんぶく探検隊
ありがとうございます!!
今回は10万件を記念して
じいちゃん先生&隊長のクマゲラ取材だ。
クマゲラは、キツツキの仲間だよ。
日本では北海道と東北北部だけにいる貴重な鳥。
森林の減少とともに数を減らし、絶滅危惧種となっている。
今回は隊長の取材。
その貴重な生活の息吹をそっとのぞいてみよう!
5月に知床で「ヒグマ」を観察し、鶴居村の宿でじいちゃんと休んでいると、じいちゃんの携帯電話にいきなりN夫妻からの緊急連絡。
が・・・じいちゃんは用件も聞かず「今ヒグマの親子を観察してきたよ。」
「え? ・・・同じクマでも、違うクマ!?」
なんだか変な電話・・・。
電話が終わってじいちゃんに確認すると、Nさんご夫婦が、なんとクマゲラの巣作りを見つけた、ということだった。でも、車が通る道のすぐ脇だから、無事に卵を産んでヒナを育てるかわからない、どうやったらクマゲラを守れるか、という相談らしい。
守りたい・・・・と言われても、僕はすぐに関東の鳥事情を思い浮かべた。
関東ならば、車から鳥を守るというより、大勢のカメラマンから鳥を守るということが先決だ。うーーーん、なかなかやっかいなことに思えるぞ。
とにかく、翌々日、そこに同行させていただくこととした。
そして当日、Nさんの運転する車で僕らは現地に向かった(じいちゃんは所要で不参加)。
現地は事前にお話を聞いていた通り、車の通り道のすぐ脇のトドマツに大きな穴が開いている。
「こ、これですか?」
「そう。ほら、今巣を掘っているよ」とN夫人。
とんとんとん、とリズミカルな音が聞こえる。
「ほんとだ!」と声を上げたとき、いきなりクマゲラが顔を出した。
(2008.11.1公開)
オスが巣を削り始めた。メスよりもパワーがあるから、削る音が大きい。
しばらく観察し、地元の方が待っていてくれたので、挨拶をして帰路につく。
Nさんご夫婦の想いが地元の人にもクマゲラにも伝わったんだな、としみじみする。
そういえば、地元の人が「テープだけでは心配なので張り紙を張る」といっていた。あんまりオープンにしないほうが良いように思ったので、「鳥の巣あり」くらいで良いのでは、と地元の方に伝えた。どうしても関東流鳥見を思い出すと、情報は控えたほうが良いと思う。
そして後日、その張り紙の写真をじいちゃんに送ってもらった(↓)。
メスと一瞬目が合った。長時間の巣穴掘り、ごくろうさま!
きっとお腹をすかせているに違いない。
1時間ほど観察した頃、メスがこうやって巣の入り口でじっとしている場面が増え始めた。
「オスを待っているんだよ。でも、前回は30分ほどで交代していたから、今日はオスがなかなか戻ってこないね。」と旦那さん。
「近くにオスがいたら鳴き声でメスに居場所を伝えるんだけど、今日は鳴かないね。まだ遠くにいるのかな」とのお話・・・。
オスの身に何かあったんじゃないかと心配になる。
さらに数十分、やっぱりオスの鳴き声は聞こえず、戻ってくる気配はまったくない。
その時、車のすぐ上を真っ黒い影が低空で巣穴に飛んでいった。
・・・・・・オスだ!!
えいっ!と木屑を巣の外に放り投げる。
そしてまた巣穴掘り。たいてい15分は巣穴を削り続ける。これは重労働。完成したら80cmの深さになるそうだ。絶え間ないトントンが静かな森に響き続ける。
今、巣作りで巣穴を削っているのはメスだ。
頭の赤い部分がオスに比べて小さい。。
ひとしきりトントンとクチバシで掘り進み、木屑がたまったら入り口に運んで・・・・。
オスが少しだけ時間をかけて、慎重に巣穴に入る。どこまで掘り進んだか確かめているようだ。
いきなりメスが飛び立った。息を飲み込んだままシャッターを切る。
オスは巣穴をのぞき込む。さあ、メスと交代だ。
メスが巣穴から顔を出した。安全を確かめているようだ。
えーーー!
そのまんまかよ!!
これでクマゲラを守れるのか?と思ったが、このクマゲラ夫婦は無事、子育てを終え、3羽のヒナが元気に巣立っていった。その様子は続編でお伝えするが、こんなオープンな張り紙でも、地元の人たちは静かにクマゲラの子育てを見守ったのだ。
・・・・・・でも、この張り紙が当たり前のことのように思えた。
関東流が感覚を麻痺させる、ということにようやく気づいた。
ついにオスが巣穴に帰ってきた。
メスより一回り大きい。頭の赤が鼻まで伸びている。
たぶん、車のすぐ後ろで様子を見ていたのだろう。鳴き声が聞こえなかったの車を警戒していたためか。
by 隊長 編
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平成20年5月6日(北海道道北地方)