白くて青いサワガニ・BL型


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 撮影:千葉県房総半島(平成20年11月)

 千葉県南部サワガニは甲羅(こうら)が青白い。
 体色変異なのだろうが、どの個体も青いので、遺伝的に固定されているのだろう。栃木などの北関東で見かけるものとは別種ではないかと思うほど、差異が大きいように思う。
 はたして、千葉県南部のサワガニはなぜ青いのか?

 調べてみると意外なことがわかって、けっこうおもしろかった。
 サワガニの体色変異は3系統に分けることができ、青いサワガニもそのうちのひとつの系統だという。

サワガニDA和歌山  
  〃  DA群馬
  〃  DA大分
サワガニRE和歌山
  〃  RE栃木
サワガニBL千葉
 

サワガニの色違いいろいろ見比べよう!

(2009.4.11公開)

bunbuku

 そのBL型の個体をじっくり眺めていただきたい。
 サワガニとしてはフルサイズといっていいだろう。はさみの大きさが左右で違うのでオス。
 個人的には想像していた以上の美しさだ。


 さて、青いサワガニであるが、千葉県南部(房総半島)の他、神奈川県南部、静岡県東南部、熊本県西部などに生息している。それぞれの地域で遺伝的には異なるという。
 サワガニは広い範囲に分散して生息域を広げたのではなく、ごく狭い範囲で、他地域の個体と隔離されたまま、生き続けてきた。分散しなかったのだから、遺伝子は広範囲でシャッフルされることなく、それぞれの地域個体群ごとに種の分化が起こりやすいということらしい。離島で生物が独特の進化を遂げる理屈と同じだ。特に九州では遺伝的な多様性が大きいそうで、そんなことからも進化生物学の研究対象となっているとか。

 サワガニはなぜ分散しなかったのか?
 それは、サワガニが一度も海に降りないカニだからのようだ。
 他のカニはゾエア、メガロバというプランクトン生活を経て稚ガニになるが、サワガニは卵からいきなり稚ガニが生まれる。だから一生を狭い範囲で生きていけるのだ。


 長い時が流れ、いつしかこの千葉の青サワガニも、違う種に分化していくのだろうか?
 人の一生では短すぎて、見届けることはとても叶わないだろうが・・・・・。

 サワガニの体色変異の系統は、青色の型(BL型)黒褐色の型(DA型)甲羅の前方が黒褐色、後方がオレンジ色の型(RE型)の3つがある。さらにのBL・DA型の混棲地域、RE・DA型の混棲地域もあるらしく、なかなか奥が深い。
 千葉県南部の個体は青色の型、まさにBL型というわけだ。

十脚目カニ下目サワガニ科  大きさ  甲幅20〜30mm、足を含めた幅50〜70mm  分布 本州、九州、四国
 ※最近、北海道の一部でも生息していると言われている。
日本固有種。一生を淡水の渓流などで過ごす純淡水性のカニ。雑食性。生息場所により体色変異あり。きれいな水にしかすめないので、環境の指標生物となっている。海産のカニと比べ、卵の数は40個程度と少ないが、卵径は3〜4mmと大きく、プランクトン時代を経ないでいきなり稚ガニが誕生する。
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