まだ、短いけどしっぽの生えているヌマガエル。こう眺めるとかわいいのだが、在来種の行く末を思うと、やっぱり僕も寂しく感じる。トウキョウダルマガエルはどこへ行ってしまったのだろうか。
「いままでは関東ではツチガエルとヌマガエルの判別なんて考えたことがなかったんですが」と話すと、Fさんが「目の間で見分けるんですよ」とアドバイスしてくださる。確かに両目の後方に黒い横シマが入っている。在庫のツチ・ヌマ両種の写真を現在探しているところなので、両種の見分け方についてはそのうち紹介しよう。
ところで、埼玉のヌマガエル君はこれからどうなっていくのだろうか。
「もうこうなっちゃったらどうしようもないんですよ」とお二人。
「だからこういう事実をいろんな人に知ってほしいんです」
うーーーん、重いなぁ・・・・・・。
ヌマガエル 埼玉県寄居町
無尾目アカガエル科 大きさ 28mm〜55mm 分布 本州(静岡以西 関東の一部に移入) 四国 九州 奄美大島 沖縄 国外では東南アジアに広く分布 |
温暖な地方に棲むカエル。生息地では人里の田んぼなどで普通に見られ、数も多い。「ヌマ」と名につくが、沼よりも田んぼにいるカエルという印象のほうが強い。オタマジャクシは40℃を超える水の中でも生きることができ、元来、熱帯に棲むカエルであることを伺わせる。最近、関東に人為的に移入され、生息域を急速に拡大している。 |
川の博物館で地図を書いていただき、さっそくすぐ近くの田んぼへ。
「あぜ道を歩くとすぐにたくさん見つかるから」とのこと。そのとおりであった。
犬の糞に細心の注意を払いながら、あぜ道を一歩踏み出すと3匹くらいの小さなカエルがぴょんと跳ねる。まだ成体になりきっていないヌマガエルがわさわさと飛び出す。
埼玉県ではここ2、3年でヌマガエルが発見されたと聞くようになった。Iさんによると人為的な移入種なのは間違いないが、「偶発的と思われるんですよね」とのこと。誰かが意図的に移入するメリットはどこにもないから、土や水や他の生き物に混じるなど、偶発的に関東に持ち込まれたのだろうとのこと。
Fさんが寂しそうに「このあたりにはもうトウキョウダルマガエルが見つからないんですよ」とおっしゃった。ヌマガエルが直接の理由ではないのだろうが、在来カエルがどんどん減りかねない状況は日本全国共通の問題のように思う。
平成20年7月:埼玉県寄居町
いてはいけないところで見つけてしまったカエル。
静岡以西に生息し、関東には生息していないはずのヌマガエルを埼玉県で見つけてしまった。
情報は埼玉県立川の博物館のスタッフの方たちから。
「こういう事実こそいろんな人に知ってもらいたいんだよね」とのこと。
おっしゃるとおり。Iさん、Fさん、さっそく公開することにしました。ありがとうございます。
現地施設
埼玉県立川の博物館 | 〒369-1217 埼玉県大里郡寄居町小園39. TEL:048-581-7333 |
荒川を中心とした川と水と人々のくらしをテーマとした博物館 開館時間:9:00〜17:00 入館料:大人400円、学生200円 休館日:月曜日(祝日の場合その翌日)、年末年始など アクセス:花園インターから8分、JR寄居駅からタクシーで7分 ※詳しくは、川の博物館HPへ
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