雪が降る直前の、空気がぴんと張り詰めた感じというのは、子どもでもよくわかっていて、そんな日に限って雪虫が飛ぶもんだから、時たま雪虫を雪と間違えたりした。

 雪虫がとぶと、雪が降る・・・・とよく聞いたけど、それは確かにその通りだったと思う。北国では子どもにだって雪の気配はわかるのだから、雪虫にわからないはずはない。
↑ 雪虫が飛んだ! 栃木県塩谷町にて

↑ セーターにとまるユキムシ

↑ 上からみたところ

 白いワタのような部分は、繊維状のロウ質の物質。体内から分泌される。水をはじく役割があるらしい。このロウの部分がまさに雪そっくりなのだが、幼いころのあの苦味がロウの味だったとは、大人になるまで知らなかった。

↑ 一度とまるとなかなか飛べない

 正直、飛ぶことは下手なようだ。ロウはちょっとおしゃれだけれど、少し重すぎる。飛び方がへたな分だけ、ますます舞い降りる雪に似る。

 白いロウ質の部分は雪などの水をはじく。それは雪の時期に活動するための知恵なのだろうが、その姿や飛び方も雪そっくり。ユキムシが雪に擬態しているのは間違いないだろう。他のムシや草や木、岩などに擬態する昆虫はたくさんいるが、「降る雪」という自然現象に擬態するというのはよく考えられた戦術だ。

 会える期間が限られ、弱々しく宙をただようユキムシ・・・。とてもはかない生き物のように思えるが、なかなかたくましい昆虫なのだ。
ユキムシ(ワタムシの仲間)
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 北海道で暮らしていた幼少期、よくこの雪虫を食べていたように思う。いや、別にお腹がすいていたとかではなくて、なんか知らんが口の中に勝手に入ってくる。しかもけっこうな頻度で・・・。特に自転車に乗って山道をぜーぜー言ってる時などが最悪で、これ以上は言わせないで欲しい、といったところだ。味は・・・・・思い出したくもない。
 北海道の雪虫はトドノネオオワタムシと言う種類が一般的らしい。アブラムシの仲間だ。名前の通り、トドマツ(モミ属)という木の根を吸って暮らしているそうだ。
 そして写真は栃木県塩谷町にて撮影。寒い地方ならば本州でも観察できる。でもトドマツは北海道にしかないから、きっとトドノネオオワタムシとは違う種類なのだろう。雪虫は何種類もいるのだ。
 普段は羽のない虫で、11月の寒い時期に羽のあるメスが生まれ、一斉に飛び出す。卵を産む木にたどり着くとオスとめぐり合い、交尾、産卵となるらしい。オスは羽がなく、飛ばないが、夏から秋にかけてはメスのみによる単為生殖で繁殖(卵胎生)するらしい。・・・・ちょっと複雑なライフサイクルだ。

 本州の雪虫はというと・・・資料が少なくよくわからない。「ケヤキヒトスジワタムシ」というのがいるようだ。樹木に害を与える虫として資料があったが、写真だけでは判別できないし、生態はよくわからない。だから、栃木で見たこのユキムシが何なのかはいまだに不明だ。
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カメムシ目アブラムシ科   大きさ 4mm以下 分布 北海道、本州、シベリア
 アブラムシの仲間で、集団で樹木に寄生し、年間を通じて世代交代を繰り返す。
 
 北海道ではポピュラーな「トドノネオオワタムシ」の場合、ヤチダモなどモクセイ科の樹木の隙間に産卵し、越冬、春新芽などを食べて育つ。初夏にトドマツに移動し、根に寄生する。晩秋になって、よく知られる体がわたで覆われた雪虫となり、風のない日に一斉に飛び、ふたたびヤチダモに戻っていく。

 本州のワタムシとしては「ケヤキヒトスジワタムシ」が、樹木の害虫としても知られているようだ。この種は、葉っぱにつくことで、植物が反応し、ゴールと呼ばれる虫こぶをつくるという。
ウォッチングのコツ・・・・雪虫としてのワタムシを見るなら、晩秋(本州では11月ころ)のみ。そろそろ雪が降るかなと感じる時期だ。風がなく、急に寒くなった日は、頼りなげにただよう雪を探してみよう。1匹見つかれば周辺にたくさんいるはずだ。

撮影 : 栃木県  塩谷 (平成17年11月26日)

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