タガメ6       晩秋の越冬個体

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(2009.11.28公開)


 とあるため池タガメを見つけた。
 本命ではないので、いつもは即リリースなのだが、ちょっと気になって一時キープ。
 11月中旬を過ぎれば、この地ではタガメは見なくなる。水辺から離れて冬眠に入るからだ。
 だから、この地でこの時期にタガメがいるということに違和感があったのだ。

 ぼろぼろの体で、もうすぐ寿命を迎えるタガメ。
 じきに雪も降ろう。このまま池に残してもそう長くは生きられまい。
 そう思うと、僕はこのタガメを持ち帰ることにした。

 このタガメが越冬できないとは限らない。
 仮に越冬できないとしても、生まれ育ったこの地で天寿をまっとうすることこそ、このタガメの望みかもしれない。
 そういう意味では僕のとった行動は決して正しいとはいえない。
 でも、このタガメをほっとけなかった。

 そして、先日、このタガメわが隊ホープなんすぃ〜(男・中年)に無事引き渡した。
 なんすぃ〜の4歳の息子のカケルは、昆虫が大好きだけど、めちゃ怖い。
 そのカケル、家に着いたタガメに大声をあげて駆け寄り、悲鳴を上げて飛びのいたそうだ。

 ・・・いろんな意味で、長い冬になって欲しい。

bunbuku
カメムシ目コオイムシ科 大きさ 約65mm  分布 本州〜九州  絶滅危惧U類
水の中にすむ昆虫(水生昆虫)。水生昆虫としてはもっとも大きくなる。夏に生まれた幼虫は数回の脱皮をして成虫になる。大きなカマのような前足で魚やカエルなどの小動物を捕らえ、針のような鋭い口を突き刺して体液を吸う。
 6本の足のうち、4本の足の先端がなくなっている。
 上の写真で言うと、右後ろ足(写真では左上)と左前足(同じく右下)のみ、先端が残っている。
 特に右前足の先端が欠損しているのが痛々しい。
 これでは十分にエサとなる小動物も捕獲できないであろう。

 どうやら、秋に新成虫になった個体ではなさそうだ。
 ・・・ということは、前年に成虫になり、一冬越冬した個体ということになる。

 なぜ、この時期にこのため池にいたのか・・・・・?
 もしかしたら、越冬する体力が残っていなくて、そのまま池にとどまっていたのかもしれない。
 そう思うと急にこのタガメが愛おしくなった。
bunbuku
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 背面は黒ずんでいる。
 裏返しておなか側を見てびっくり・・・・。
 

撮影:栃木県 (平成15年9月14日)

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