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タヌキ 疥癬(かいせん)にかかった子タヌキ

by ぽんぽこ

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 食肉目イヌ科  大きさ 50cm〜60cm  
 分布 ホンドタヌキ 本州〜九州 エゾタヌキ 北海道 中国やロシアに分布するタヌキの亜種
 夜行性、親子や家族で生活。一夫一妻制で、オスも子育てする。雑食性。みんなで一箇所にフンをする習性があり、「ためフン」の場所は情報交換の場になっているそうだ。山里から、2000mの高地まで生息域が広い。
 ウォッチングのコツ・・・・夜行性なので、夜に見ることが多く、夜は市街地でも時おり見かける。車にひかれる野生動物ナンバー1。特に巣立った若い個体が犠牲になりやすい。また、春から夏にかけては昼でも時おり見かけるようになる
最近は緑が豊かな大きい公園などで、昼間でもわりと無防備に姿を現す個体が増えているようだ。もっと確実に観察したいのならば、餌付けされている民家や旅館などで観察させてもらうのがよいだろう。     
bunbuku
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 いろいろな資料を見る限り、野生動物の疥癬は、ヒトの社会が密接にからんだ「現代病」といえそうだ。
 そして、この自然公園のタヌキもヒトに慣れてあまり怖がらないのだという。
 突然、あらわれて、ヒトを化かしたというむかしむかしの「神秘のタヌキ」は、疥癬にはかからなかったかもしれない。

 時おり、こちらにじっと視線を送りながら、ゆっくりと子ダヌキは消えていった。
 
 自然には治らないという疥癬・・・・でも子ダヌキの生命力を信じたい。 
 

撮影 : 埼玉県北本市・北本自然観察公園(平成20年2月)

 冬になり、北本自然観察公園によく出かけた。週2回ペースの時期もあったくらい。
 でもなかなか会えないタヌキに、ようやく遭遇!ベニマシコの撮影に夢中な鳥見客の向こう・・・草むらの下に、ひょっこりといるではないか。

by ぽんぽこ

 体が小さく、子ダヌキのようだ。あわてて、カメラを向ける私たちに、じっと視線を向けてたたずんでいる!やった!夢中でシャッターを切った。
 まるっこい顔に丸い目、丸い耳、なんてかわいいんだろう!

 子ダヌキは、急いで隠れる様子もなく、こちらも少し落ち着いてきた。すると体の毛がだいぶ抜け落ち、やせた体があらわになっているのがわかった。
 皮膚病にかかっているタヌキのファミリーがいると、学芸員から聞いていた。どうやらその家族の子どものようだ。

 2月の中旬、今年の冬は寒かったが、ここのところ、暖かい日が増えていた。この日も暖かな小春日だった。やせた子ダヌキたちにとっては待ちに待った春の気配。

 地肌の見えた背中に、暖かい日差しがそそいでいる。これでは冬はさぞ寒かったろう。

 子ダヌキはなんと、2匹。寄り添って、仲むつまじい姿だ。でも兄弟ともに皮膚病にかかっているようだ。おそらく、その母親も・・・。
 子ダヌキをおいて、母親はどこかへえさを探しにいったのだろうか。
 「お母さんまだかな〜」 「うん、早く帰ってこないかな〜」

 この皮膚病は、「疥癬(かいせん)」と見られるそうだ。
 疥癬(かいせん)は、ヒトもかかる病気で、「ヒゼンダニ」というダニが皮膚に寄生するもの。ヒトなら、皮膚がぼつぼつ赤くなり、ひどいかゆみをおこす。(ヒトと動物の間での感染はないとのこと)
 タヌキキツネなど野生動物が感染すると、かゆみだけでなく、全身の毛が抜け落ち、皮膚はかさぶたにおおわれ、体温調整ができないため、徐々に衰弱する。ヒトと違い、薬など塗るわけではないから、多くは悲しい運命を待つばかりだ。

 この冬は、北本自然観察公園でほんとによくタヌキが目撃された。あまりによくあらわれるので、冬鳥を目当てにきている客たちは、関心も寄せていない様子だった。
 でもぶんぶく探検隊は、むしろ、タヌキから探すのであった・・・それでも、案外、出くわすことは少なかった。北本タヌキ続編ぽんぽこが報告!

bunbuku
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 調べると、「重症になると全身の毛が落ち・・」とあるが、私が見たこの子タヌキもすでに重症ということだろう。例年より寒かったこの冬を越すのがどれほどつらかっただろう。

 野生動物の疥癬は、近年たびたび流行しており、その原因のひとつが、タヌキやキツネの都市化によるものだと言われる。
 山から里へ里から町へ下り、ヒトの残飯などをあさるようになったり、餌付けがされたりすることで、野生動物同士の接触が増える。また飼い犬や飼い猫からの感染もある。
 また、ヒトの残飯や観光地でお菓子をあげるなど、塩分とか添加物いっぱいの不自然な食べ物をとることも二次的な原因になっているという報告もある。
 

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