↑ 2009年 マスクラットトラップ
(2009.4.6公開)
さて、例のマスクラットトラップはその後どうなったのであろうか?
2008年はネズミ年で、上野動物園では展示の目玉にしたかったらしい。
新聞などによれば、上の写真ような罠が水元公園内に6ヶ所設置されたとか。わなの中にはにんじん、キャベツなどの野菜が入れられたようだが、僕が見たときはエサも空っぽだった。
げっし目キヌゲネズミ科 大きさ 20cm〜36cm 尾の長さ 20〜30cm 分布 北アメリカに広く分布。日本では関東の一部 |
夜行性、全身は褐色や黒。水辺に暮らし、泳ぎが得意。後ろ足の指の間の一部には水かきがある。水生植物を主に食べるが、カエルや魚などの小動物も食べる。おなかに臭腺があり、muskのにおいがするので、マスクラットと名がついた。2006年、特定外来生物に指定される。 |
日本には第二次世界大戦中に、軍服に使う毛皮用として移入された。
しかし、終戦後は毛皮の需要が減ったり、性格が荒くて養殖に向かないなどの理由で捨てられ、その子孫たちが細々と生き残って今日に至っている。
なんだ、おまえたちも戦争の被害者か、と言いたいところだが、現在の日本政府は彼らを特定外来生物に指定した。
勝手に連れてこられ、日本の生態系を脅かす悪い奴としてレッテルを貼られ、さらに動物園の人たちから追いかけられたりしている。
生態や容姿のみならず、かわいそうなようで、ワルそうなところも、なんか中途半端なマスクラット。
でも僕はこいつらに愛着があるんだよね。
いつまでもちょっと神秘の都市伝説のまま生きていて欲しい。
けっきょく、マスクラットが捕らえられたというニュースは未だに聞いていないように思う。
やっぱりなんかベタすぎる罠には近づかなかったのかな?
かつて千葉県松戸市に現れたという怪獣マツドドンの正体は、このマスクラットだと言われている。
日本では見かけない哺乳類をバケモノと勘違いした人がいたのかもしれない。
まさに都市伝説はこうして生まれる・・・のかも。
怪獣と間違えられるような雰囲気はないと思うが、罠になんか捕まらずに、ちょっと神秘な巨大ネズミのままのほうが僕にはうれしい・・・・・・。
関東のごく一部に生息しているマスクラット。北アメリカからやってきた巨大ネズミだ。
ねずみ年の2008年初頭、上野動物園が東京都にある水元公園でマスクラットの捕獲作戦を始めるというので、けっこう話題になった。マスクラットに会いたくて、僕が水元公園に通い始めて3年目の2008年3月、そのトラップを水辺で見つけたが、中は空っぽ・・・・。
写真のようなところにマスクラットは現れるのだが、はたしてこんなシンプルなトラップに捕まる動物なんかいるのだろうか。
↑ 2008年 トラップそばの看板
↑ 2008年 マスクラット・トラップ
その直後、すぐ近くの岸辺でもさらに1度、マスクラットを見た。このときも気づいたときは水にもぐる瞬間だった。ちゃぽんと音がした。カイツブリのように、近くを見ていたらすぐに顔を出すと思ったが、ずっと待っても再び水面に現れることはなかった。
後で調べたら、巣は岸辺に穴を掘って作るが、入り口は水の中にあるのだという。
なるほど、水中へ消えたマスクラットは、巣穴に戻ったに違いない。
↑ 2009.3月 マスクラットがいた!
この3年間、基本的には同じ時期の同じ時間帯、同じ場所で僕はマスクラットを探していた。
でも、一度も見たことのないマスクラットを、この日に限って3個体(2個体かもしれない)も見てしまった。なぜなのかは今もわからないけど、生き物探索というのはこんなもんなのかもしれない。
ちなみに2週あけて見に行ったときも、1個体だが何度も目の前に現れてくれた。
ひとつだけ、イメージと違ったのは、岸辺の水の上で見たということ。それまでは岸から遠い所を泳いでいるか、岸に上がっているイメージだった。
そーっと岸辺を歩いていると、すぐ足元の水辺に浮かんでいた黒い塊が、ちゃぽっと小さな音を立てて、水中に消えていった。カイツブリ(よく水に潜る鳥の種類だよ)よりは大きくて黒い。オオバン(クイナの仲間でカモみたいに泳ぐ真っ黒な鳥だよ)は逃げるときはすーっと泳いで遠ざかり、水に潜るのを見たことがない。なによりも、黒い塊のおしりには変な物体がくっついている。しっぽだ・・・・。
・・・・・となると、ほぼ間違いなくマスクラットだ。
「へーーー」と思わずつぶやいてしまった・・・・。
↑ 2008年 マスクラットトラップ
撮影:東京都葛飾区・水元公園(2009.3月)
↑ 2009年 目の前を泳ぐマスクラット