イタベシ海岸に来た時点で、今まで双眼鏡で熊を探していた船長が、「いた、いた!!」と船室から甲板に出てきた。
 「どれ、どこに?」「あれ、川の流れている左の岩があるでしょう。その上に黒い点が見えるでしょう!」
 なるほど船からは400mほど離れた岩に、黒いゴマ粒くらいの影を見る。
 ヒグマ  〜知床半島〜       

                                    じいちゃん先生レポート

↑ 大きな母熊

かろうじてピントが合った。悠然と歩く姿は威厳がある。しかし顔が見えない。

第2ポイント : ルシャ湾

 数分後、ヒグマ出没地帯のルシャにむかう。
 ここでも船長がすぐに見つける。「あそこに車が見えるでしょう。その手前にヒグマがいるよ。」
 よく見ると、親と2頭の小熊が見える。1頭の小熊はあちこち走り回り、なかなか撮れない。 2頭の親子は撮れていた。あまりにも遠い。・・・しかも手ブレで難しい。
第1ポイント : イタベシ海岸

↑ ドルフィン号


bunbuku
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鮭を追うヒグマ

bunbuku
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 上の写真はトリミングでクマを大きくしてみた。本物の(!)ヒグマである。陸では会いたくないが、海の上からなら安心して撮影できる。

↑ 象岩・・見事な鼻

 車が一台止まっていた。あとで確認したら環境庁のヒグマ調査官が調査していたそうだ。一般の車は立ち入り禁止である。
 知床のヒグマは1平方キロメートルに0.4頭の割合で生息している。けして広いとはいえないここ知床半島は、世界で最もヒグマの生息密度の高い地域として知られる。海岸部から高山地帯まで多種多様なエサが豊富にあるため、狭い範囲に多くのヒグマが生息できるのである。
 
 とかく恐ろしいイメージのヒグマであるが、海上から距離を置いて眺めると、なんとも愛おしい。暮らす場が狭くなれば人との軋轢(あつれき)は避けられない。蝦夷の地に、人が「開拓」と称してどんどん入ってきたことで、彼らの生息圏はあっという間に減ってしまった。
 広い北海道の中でも、彼らにとって安住の地は極めて少ない。そういう意味で、知床の世界遺産登録の今後に期待したい。

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 たったの4日の知床半島だけど、世界自然遺産にふさわしい壮大な風景を満喫する。
 知床最後の挑戦はヒグマ。知床半島は生息密度が高く、会いたくなくてもバッタリ、なんて恐ろしいことがよくあるそうな。でも、そんな危険を冒しながらの挑戦はイヤというもの。陸地からは安全にヒグマを撮るのが難しいので、手っ取り早く、海からヒグマを撮ることにしよう。斜里町で一泊し、クルーザー観光船「ドルフィン」に乗る。この時期はサケの遡上(そじょう)と重なり、海に注ぐ川でヒグマがサケを狙っているそうだ。かなりの確率で(隊長は100%という)ヒグマに会えるとのこと。

 大海原をのびのびと優雅に舞うイルカの群れ、クルーザーの周りを飛び交うカモメの姿。
 陸からはけっして見られないさまざまな奇岩と滝、日本最後の秘境「知床半島」を存分に味わう。浪漫あふれる感動のクルージングを楽しんだ。
bunbuku

つかず離れず、連れ添う親子熊

文・写真:じいちゃん先生
撮 影 :平成18年9月13日

公 開 :平成19年11月5日

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↑ ルシャ湾の親子ヒグマ

 3頭いるのに、けっきょく2頭のみの写真になってしまった。写真上方に写っているのがそれだ。背中しか見えていない茶色いほうが母熊だ。ヒグマは数年、母子で過ごす習性がある。そして親子は移動を始めた。

 ウトロ港を出た船は、奇岩の多い海岸沿いに運行。「乙女の涙」の滝を過ぎ、象の鼻に似た「象岩」、柱状節理のある断崖を眺め進航。
 クルーザーも停船してくれる。あまり揺れなくなったので、500mmの望遠でのぞく・・・
 「いるいる。黒い大きなヒグマが〜〜」

 待ちに待ったその瞬間。夢中で連続してシャッターを切る。岩の上に腰を下ろし残念だが後ろ向き。時折横を向いてくれる瞬間が上の写真。写真を取り込んで気づいたのだが、このヒグマはカラフトマスをむさぼっていた。

アップしてみると赤い鮭を食べている

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