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地方紙に載った「キヌ太」 昭和58年ごろ

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 道北の林道を、エゾライチョウを探しに車で走っていると、前方になにやらあやしき影が見える。速度をおとしてさらに近づくと、なんと子だぬきが三匹・・・こちらに近づいてくる。車をとめる。ようやく相手もこちらの車に気がつき立ち止まり、けげんな顔で注視している。
 2匹が隠れたが、1匹はこちらをじっと見つめている。

 短足で体がころころと太っている。成獣と変わらぬ大きさのエゾタヌキの仔である。
 本州に住むホンドタヌキ事情は詳しくないが、北海道ではなかなか見かけないエゾタヌキだ。キタキツネやエゾシカは誰もが知っているが、タヌキは印象がうすい。
 愛嬌のある顔で、なんともいえない愛らしさがある。

エゾタヌキ
 食肉目イヌ科  大きさ 54〜68cm 分布 北海道 ユーラシアの温帯亜寒帯に広く分布する
 北海道のタヌキは亜種エゾタヌキとされる。本州のタヌキ(亜種ホンドタヌキ)と体格はあまり変わらないが、毛足が長く、体色が薄い。夜行性、森林やその周辺で生活。雑食性。みんなで一箇所にフンをする「ためフン」の習性がある。キタキツネは市街地にもよく出てくるが、エゾタヌキは滅多に人前に出ない。冬は穴にこもり冬ごもりする。 
 子だぬきと時間を共有していたが、「あまり長居しては不利になる」と先の2匹がまわれ右して駆け出した。最後の1匹も何がなんだかわからずに、2匹について一目散に駆け出す。そしてわずかな時間が過ぎていく・・・

 北海道特産の亜種。本州産タヌキとほとんど変わらないが、毛が長く、下毛が多く、大きく見えるそうナ!そのため昔は首巻などに利用されていた。今はあまり使う人がいなくなった。

 ショックを与えると仮死状態になる。いわゆる「タヌキ寝入り」である。

(2009.5.1公開)

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ぶんぶく探検隊4周年!

じいちゃん先生 春の三部作 その壱

 もう25年ほど昔、道北の小さな町の小さな学校に赴任していたときのことだ。

 近所のひとたちに「山に行くとタヌキがいるから捕まえてくるかい?」と誘われた。なかなか見られないタヌキである。見てみたい・・「ヨッシャ、いくか!」と勇んで冬山にいき、足跡をさがした。まもなく足跡をみつけ、尾行がはじまる。このエゾタヌキ、夜行性で、昼間は他の動物が掘った土穴にすむ。足跡を追えば巣穴につくという作戦だ。
 しばらく足跡を追うと、倒木の根元で足跡が消える。そこにはポッカリと穴が開いている。

 「うん、タヌキの毛が長いので、二又の棒を入れて、クルクルまわすと、毛が棒にからみつく。それを静かに引くとタヌキが出てくるぞ!」「そんなにうまくいくかな?」半信半疑にさっそく、直径5cmくらいの木の枝をさがし、穴に入れてクルクルまわしはじめる。・・・さっぱり手ごたえがない、これは失敗。次はいぶりだし作戦・・・これも失敗。
 最後の手段は、スコップで雪を掘り出しにかかる。そして木の根元付近でついに姿を現したエゾタヌキ。冬のエサのない時期、やせてガラガラである。

エゾタヌキ

3匹の仔豚ならず3匹の仔狸

 あんまりやせているから、かわいそうになり、タヌキをつれて帰ることにした。
 我が家で飼育し、太ったら山に返すことになった。名前は「キヌ太」・・・

 雑食性なので犬のエサと同じものを与えた。半月もすると見違えるほど肉がついた。太った「キヌ太」を車にのせ、もとの場所に放して来た。
 今思えば、とんだおせっかいをしたものだが、なつかしい思い出だ。

    
 

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