アナグマ 1

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 よしっ、ついにアナグマを撮影した。と同時にアナグマは草むらに飛び込んだ。
 さっそくモニター画面をチェックだ。
 え?と思わず声が出た。 どっちが頭かわからない・・・・。 こんなはずではなかったのに・・・・・・。

 しばらく周辺に潜んでいたが、アナグマは二度と現れなかった。空を見上げたけど、曇り空には星はひとつも見えなかった。湿った空気にドクダミのにおいが混ざる。カエルの声だけがやけに騒々しかった・・・・・。

撮影:福島県南会津郡南会津町舘岩・平成18年7月9日


 食肉目イタチ科  大きさ オス56cm〜68cm メス52cm〜59cm 分布 本州〜九州
 地方によってはムジナともいう。目から頭にかけて黒い帯があり、ずんぐりしている。たぬきに似ているがまったく違うイタチの仲間。もちろん、クマの仲間ではない。雑食性で、家族の群れで生活する。冬季はふゆごもりする。
 ウォッチングのコツ・・・臆病な哺乳類といわれている。僕は夜の林道などでしか見たことがないが、昼間でも姿を現すこともあるそうだ。また、餌付けされることもあるようで、そんな場所があればゆっくり観察できるだろう。

 モニター画面に写っているのは何? アナグマはいない。白いのはビニール袋?
 うーーー! 人んちの畑にごみをすてるなっ!!!
 少ない光量の中で、オートでピントを合わせるのに時間がかかり、その間にアナグマはとっくにフレームの外に飛び出していたのだ。

 もう最後の手段だ。胸にカメラを構え、フレームをのぞかずに撮影するのだ。すばやいイルカなど、カメラでは追いきれない動物を撮影する時の最終手段だ。成功率は1割にも満たない。やりたくはないけど、他の方法が思い当たらない。
 一度見失ったアナグマが不意に目の前を横切った。しかもかなりの至近距離だ。アナグマの向かう先は丈のある草が生い茂っている。たぶん、まちがいなく最後のチャンスだ。気合の掛け声とともにシャッターを切る。「とおーーー」

bunbuku

 哺乳類との遭遇は難しいと思っている人が意外と多い。しかし、わりと高確率で会える方法がある。夜の林道探索だ。安全でしっかりしている林道を昼のうちに見つけておいて、夜に車で流すのである。シカタヌキテンウサギネズミなどが常連で、時にカモシカキツネに会える。そんな中で、実はアナグマはなかなか会うことができない哺乳類のひとつだ。僕の経験で言えば、夜の林道でアナグマに会える確率が高いのは初夏。それ以外の季節で出会ったことは1度くらいしか記憶がない。臆病な動物だからであろうか?それとも生息数が少ないのであろうか?
 そんなアナグマを紹介したいのだが、アナグマに会うことよりもさらに難しいことがある。それは撮影だ。夜の哺乳類の撮影はとにかく難しい。

 ・・・だから、今回はそんな撮影の難しさを感じていただけたら、幸いである。

 ピントなんて合うはずがねぇー!!
 この失敗写真もまた、夜の哺乳類撮影の難しさを物語っている・・・・と思う。

 しかし、まだアナグマは逃げない。とことことことこ畑を奥に向かっていく。もう一度挑戦だ。マニュアルではきびしいので、オートフォーカスに切り替える。ピンとあわせでシャッターを軽く押すと、僕の300mmレンズは「うぃぃぃぃーん、うぃぃぃっ」とゆっくりとピントを探る。突然、「ぎぃっ」とレンズがとまり、ピッと電子音が鳴る。カメラがアナグマを射程に捕らえたのだ。「いまだ!」 その一瞬に賭ける。
 そしてすぐ、カメラのモニター画面で写した写真をチェックする。あれれれれ? なにこれ?

bunbuku
bunbuku
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(公開:平成19年10月27日)

 夜行性といわれるが、昼間もたまに活動している。最初の写真の場所から10kmほど離れた場所だ。あのアナグマではないことを祈りつつ、道のはじの移動させた。妙に重かった。

 初夏、山道では車に轢かれたアナグマを時々見かける。臆病で慎重なやつらだけど、車にはかなわない。運転にはくれぐれも注意してほしい。

 そして・・・・。タイトルに1と付けたのははったりではない。ばっちりと、生活感たっぷりのアナグマの写真を、そのうち皆さんに届けよう。

 たいていの場合はシャッターを切る時間すらないのが夜の哺乳類との遭遇だ。ところが、このアナグマ、そのまま道に沿って歩き、脇の畑に降りていった。さっそく車を降りて、カメラと強力ライトを抱えて追いかける。民家付近に巣があるのか、どうも人馴れしているようで、僕のことなんかまるで気にしていないかの逃げ方だ。こんな近距離での撮影のチャンスなんて、めったにあるものではない。僕はしだいに興奮してきた。しかし、巨大なライトを左手に持ったままでは、カメラのピントを手動(マニュアル)で操作できない。僕はライトを小脇に抱え、両手でカメラを持った。そして、体をくねくねさせながら、脇に挟んだライトでターゲットのアナグマに光を当て、手動でピントを合わせる。かろうじてアナグマの背中を捉えた。すかさず踊るカメラマンはシャッターを切る!

 しかし、結果は・・・・・?

 福島県の舘岩付近を深夜に走行中、いきなりアナグマが車の前を横切った。たいていはすぐ逃げてしまうのだが、この時はシートの脇にカメラを置いていたので、急いで車を止め、車中からあわてて撮影した。それが下の写真だ。真ん中に、ばっちりピントの合ったアナグマが写っているはずだったのだが・・・・・。
 フロントガラスがフラッシュを反射してしまうという典型の失敗写真になってしまった。

bunbuku
bunbuku

 最後に、「アナグマってどんな動物?」と思った人がいたら困るので、轢死したアナグマを載せておこう。車に轢かれた直後だったのだろう。道の真ん中で横たわっていた彼は、今にも目を開けそうなくらいにきれいな姿だった。

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