↑ なかがわ水遊園の展示模型

 上の写真はなかがわ水遊園の展示模型。大型魚に吸い付く様子(右上)と、三つ歯(右下)の模型だ。

  脊椎動物(せきついどうぶつ)は(あご)を獲得してはじめて、泳いだり跳ねてる生き物を食べられるようになった。つまり、顎の発達は捕食の形態に一大革命をもたらし、その後の生物の多様な進化につながるのである。顎のある有顎魚類が登場して、無顎類は進化の大きな流れからは取り残されてしまい、5億年たった今では、ごくわずかな種が生き残ったに過ぎない。有顎魚類の大繁栄とは対照的だ。
 ところで、進化上では無顎類有顎魚類とは別の系統となり、ゆえに、無顎類魚類とは別の生き物だという話になるようだ。どっちにしろ、ヤツメウナギとその仲間たちは、たいていの魚類図鑑に載っており、魚じゃなくても魚なので。。

 「那珂川の生態系」が売りのはずだが、一番スペースとお金をかけているメインの展示は、なぜかアマゾンの熱帯魚。でっかいピラルクが何匹も泳いでいる巨大水槽は圧巻だ。

 僕もいつかはこんな大きな水槽を家に置きたい、としみじみ思うのであった・・・・。

 不思議な写真になってしまったが、水族館の水槽の中を写したからである。
 今回はミツバヤツメの登場。場所は栃木県大田原市にあるなかがわ水遊園だ。
 聞きなれない名前だが、ミツバヤツメはヤツメウナギの仲間で、もちろん魚である。
 日本では31例しか採集個体がおらず、聞きなれないのも無理はない。見つかること事態がまれな魚だ。当然、生態も謎だらけ。
 さらに・・・・。魚である、と言ったけど、本によっては魚ではない生き物、なんて紹介されていることもある。なぜか?はあとで説明するとして、ようするに不思議な存在なのである。

 ヤツメウナギならばご存知だろうか? 高校生のころ、父親(じいちゃん先生)が天塩川を登るヤツメウナギ(シベリアヤツメウナギ?)を大量に獲ってきたことがある。目に良いからと喰わされたが、かなりまずかった・・・・・(実際、ビタミンAの含有量も多い)。ミツバヤツメも同じ仲間。体の脇に目に並ぶように7つの鰓孔があり、本物の眼とあわせて左右8つずつの眼に見える。それが名の由来。そしてミツバ三つ歯。吸盤上の口に歯が3つあるのだ。この吸盤の口で大型の魚に吸い付き、体液を吸う。

 ちなみに、顎(あご)がないのがヤツメ類の大きな特徴。無顎類(むがくるい)といって、進化の上では大変重要な位置を占める。5億年以上も昔の、カンブリア紀後期(古生代初期)に登場した最古の魚が無顎類であり、文字通り顎(あご)がない。乱暴な表現になるが、ヤツメウナギなどは、ただの丸い穴に歯が生えているだけの口の構造だということだ。口のかたちから、無顎類のことを円口類ともいう。
 

↑ ミツバヤツメ
もちろん生きており、生体展示されている。
bunbuku
bunbuku

 最後に、なかがわ水遊園を紹介しよう。ひと言で言うならば、那珂川(なかがわ)という川の豊かさをたっぷりと実感できる水族館である。

bunbuku
ミツバヤツメ
          
〜栃木県立なかがわ水遊園〜
bunbuku

現地施設

ぶんぶく ぶんぶく探検隊トップページへ
リンクフリーです

なかがわ水遊園 栃木県大田原市佐良土2686
電話
:0287-98-3055
おもしろ魚館には栃木県を流れる那珂川水系にすむ淡水魚を中心に、世界の淡水魚が展示されている。
広い園内には、釣りを楽しめる池や広場がある。
休園 毎週月曜日(祝日の場合翌日) 第4木曜日 年末年始 
入園料 大人600円、小・中学生250円
アクセス:東北自動車道 西那須野塩原ICから25km
詳しくはなかがわ水遊園HPへ
 魚は上の写真の「おもしろ魚館」で展示している。企画展などもけっこう楽しめるとともに、工作したり、料理を作ったりする「体験交流ゾーン」などもあって、なんか不思議さを醸し出す。個人的にはクリスマスの時期がおすすめ。ライトアップされた水遊園を楽しめる。

撮影 : 栃木県大田原市 (平成19年6月10日)

bunbuku
もどる
inserted by FC2 system